マーケティングの課題について
2025.4.30 (最終更新:2025.4.30)

マーケティングのプロセスは一般的に5つのステップがあります。
(1)リサーチ
(2)STP分析
(3)マーケティングミックス
(4)インプリメンテーション(計画を立てて施策を実行)、
(5)コントロール(目標達成度や収益性の分析、施策の効果検証)しかし様々なブランド・企業とお仕事をしてきた中で誤解が生じているケースがあります。そのような中で課題をご紹介します。
目次
1.一部のみに閉じている
社内で連携がとれていないケースが多いです。各部門との連携がうまく取れていなければブランディングは成功しません。なぜなら、ブランディングはマーケティング部門や商品・サービス企画部門だけでは行うことができないからです。このようなことを防ぐには各部門と誰がどう連携を取るのか、しっかりと設計する必要があります。
2.企業経営との整合性・財務目標への投資対効果の不在
経営とマーケティングの連携が取れていないケースも多いです。ステップ(2)のSTP分析で、経営目標や戦略と照らし合わせた検討が欠けている場合が少なくありません。マーケティングのプロセスの中で、自社ブランドの市場やセグメントで競合に本当に勝つことができるのか、経営の視点を交えて判断していく必要があると思います。また、(3)マーケティングミックスのプロセスで、財務目標に基づくKPI(評価指標)が設定されていないケースも多いです。
投資効果の検証が不十分なままマーケティング業務が進み、結果として突然の予算カットや打ち切りにつながってしまいます。これも経営や財務目標との整合性を見落としている点に、問題の根本があると思います。
3.長期・中期・短期の循環するサイクルが必要
マーケティングを進行していくと必ず課題が発生します。それらの課題を解決しながらPDCAサイクルを循環する仕組みが必要だと思います。マーケティングプロセスのステップ(3)~ステップ(5)を繰り返して施策のブラッシュアップを行う短期サイクル、そしてセグメンテーションやターゲティングを見直す中期サイクル、さらに自社ブランドの市場や環境などの分析を再評価する長期サイクル。この3つのサイクルが必要だと思います。
そうすることで戦略目標との整合性をキープし、必要な場合には撤退や違うブランドの立ち上げなどに修正を図ることが可能になります。ところが実際は、循環する仕組みで運用できていない企業が多いように思います。
4.粒度が荒く・平均・最大公約数的
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングが粗くなるケースも多いんじゃないかと思います。STP分析は平均な最大公約数を把握するだけなので、平均的な最大公約数を対象顧客として投資効果の高いマーケティングミックスを構築するのは無理があるんじゃないでしょうか。
多くの企業はポジショニングの中で顧客像を1つに限定し、平均的な顧客像を定めようとします。これらの顧客像に定めた結果、粒度の粗い決定をしてしまうではないでしょうか。
5.ポジショニングの誤解、戦術と混同してしまう
ポジショニングを「戦略」として考えるのか、「プロモーションの対象を絞り込む手法」として考えるのかで、その意味合いは大きく異なってきます。多くの企業ではこの2つが混同されていて、本来必要な戦略的なポジショニングを狭めすぎてしまうケースがあります。
マーケティング界の巨匠、コトラーさんはマーケティングプランを構築する際には、まず4P(製品、価格、場所、宣伝)の前に「R=リサーチ」を行うべきだと語っています。リサーチによって、消費者のニーズや認知・嗜好に違いがあることが分かり、それに基づいて「S=セグメンテーション」を行う必要があると言っています。また、全ての消費者を対象にするのは不可能であり、自社ブランドが得意とする顧客層を選ぶことが重要だとも言っています。これが「T=ターゲティング」です。そして、4Pを進める前にもう一つの「P=ポジショニング」が何よりも重要だと強調しています。
これらから、ポジショニングを「点」ではなく「枠」として考えることが大切だと思います。「枠」とは、戦略として何をしないかを選ぶことです。例えば、自社ブランドは価格競争に参加しないと決めたとすれば、それによって戦略の枠組みが生まれるはずです。ところが、戦略のポジショニングと広告手法が混同し、「高価格の商品に特化する」といったようにポジショニングを「点」で捉え、戦略を狭めて行き詰まるという現象が起きているんじゃないでしょうか。
TOKYO Office
03-6869-1630受付時間 平日 10:00-18:00
OSAKA Office
06-4397-3580受付時間 平日 10:00-18:00
- トップ
- ブランディングについて
- インサイト
- マーケティングの課題について