ブランド価値は人にあり「スターバックス コーヒー」
2025.7.24 (最終更新:2025.7.24)

スターバックスといえば、近くの店舗や、コーヒー、フラペチーノといった商品をイメージすることが多いかと思います。実は、ブランドがもっとも大切にしているのは「パートナー」と呼んでいる従業員。
ブランドの核であるパートナーが、前向きな気持ちでお客様に向き合えるようにしていくことが大切になるとのこと。
成長企業には、このような仕組みが必要だと強烈に感じました。
1.パートナーを大切にする創業者の体験
ブランドが目指しているのは「多様なパートナー一人一人が能力を最大限に発揮し、誰もが自分の居場所と感じられる社会を実現すること」。
スターバックスでは従業員を、共に働く仲間、パートナーと呼んでいるそうです。従業員と雇用主という関係を超えて、社長も店長も一パートナー。社長のことも、社長ではなく下の名前で呼んでいる。
パートナーという言葉には、人種、年齢、性別、役割や雇用形態、障がいの有無、個人の価値観など、違いや多様性を超えてお互いに尊重し合う、認め合うパートナー同士であるという意味が込められており、人を中心にし、人に投資するためにも、常に成長への意欲を持ち合わせたブランドだといえます。
2.接客マニュアルよりもMISSIONを軸に
スターバックスでは、イメージ調査を四半期ごとに定点観測しており、「ブランドの信頼」「顧客満足」「従業員を大切にしている」といった項目が長らくスターバックスの強みとなっています。
よく外食チェーン店では接客や調理のマニュアルが存在しますが、スターバックスではお客様に対するマニュアルはないようです。なぜないのでしょうか?それは「お客様一人一人のニーズがあるので、それを察してパートナーが主体的に動いて体験を届けることを大切にしているから」。全国に数万人いるパートナーが同じ方向を向いてスターバックスらしい体験を提供しているか。その核となっているのがMISSION。ホームページにも掲載されている、
OUR MISSION(私たちがここにいる理由)
この一杯から広がる、心かよわせる瞬間、それぞれのコミュニティとともに
人と人とのつながりが生みだす無限の可能性を信じ、育みます

パートナーがこのMISSIONを納得して理解し、自分の言葉で話せるくらい浸透させることに非常に時間とエネルギーを注いでいるとのことです。また、目指す姿を描いたPROMISESも設定しており、MISSIONを掲げるだけでなく、パートナー、お客様、生産者、地域社会、 環境、株主という我々のビジネスにおけるステークホルダーに対してどういうふうに行動していくかを示しています。スターバックスで働くことが、地域に、社会環境に、お互いに、自分自身にとって、前向きな気持ちを育むものであってほしい。そんな願いが込められています。そして、この約束を実現するために、パートナーが行動指針とするVALUESを描いています。人間らしさを大切にしながら成長するため5つの項目、「CRAFT(思いをかたちにする)」「RESULTS(成果に責任をもつ)」「COURAGE(勇気をもって向き合う)」「BELONGING(互いを理解し認め合う)」「JOY(楽しむことを力に)」を掲げています。
このOUR MISSION, PROMISES & VALUESは、アメリカ本社で1年ほど前にリニューアルされたのですが、日本法人ではアメリカ本社をそのまま訳さず、「店舗で実現したい内容」に沿って訳したそうです。こうした国や地域のマーケットの独自性も尊重されています。
3.人生に寄り添い続けるブランド
スターバックスが、ステークホルダーにとってどんなブランドでありたいと思っているか。それは「人生に寄り添い続けるブランド」。下の表の中央の数字は目安の年齢、上の丸は、ライフスタイルの変化とともに想定されるライフステージにおいて、スターバックスがどう関わりを持ちたいかということを表しています。表掲載。
●0~10代:はじめてのスターバックス体験
子供を抱っこしてママ同士、パパ同士が集まる「ママパパカフェ」を展開したり、少し大きく成長するとグリーンのエプロンを着て、実際にお店で働く職場体験もでる 「バリスタ体験」も行っています。
●10代、20代:顧客、パートナーとしてつながりを深化
季節限定のドリンクやフードをご褒美として楽しんだり、SNSをフォローしたり、お勧めのカスタマイズを友だちと共有したり、あるいはパートナーとして働いたりと、スターバックスとのつながりを深めてもらうステージ。
●社会人:強みを生かしパートナーとして活躍
強みを生かして社会で活躍するステージ。スターバックスがこだわっているのは、パートナー一人一人の個性が輝く仕組みです。スターバックスでの体験を通して、未来につながる何かを見つける、感じる、そんなパートナーやお客様を一人でも多くつくることを日々の活動として目指しています。
●多様化するニーズに対応
さらに大人になると、ライフスタイルやニーズがますます多様化していきます。スターバックスはこの店舗があることにどんな意味を持たせられるか、これをしっかりと考えて一つ一つの店舗を作っていくことを大切にしており、人を中心としたビジネスで、あくまでも商品は彩りであるということを忘れずに店舗を作っていくとを大切にしています。
●第二の人生 地域と世代をつなぐ
第二の人生の中で、スターバックスは、お客様やパートナーと地域や世代をつなぐ居場所にもなります。定年退職後に、新たな挑戦としてスターバックスで働いてみたいという方も増加しており、70代のパートナーが中心となり、朝、駐車場のスペースを利用してラジオ体操をするという地域活動をこなったり、認知症の当事者の方やご家族が集まる「認知症カフェ」も店舗主体でスタート。地元のパートナーが地域の社会課題を察し、周囲に働きかけて一緒に行動し、前向きな変化をつくっていくため、MISSIONやPROMISES に基づいて、しっかりとパートナーが行動している事例です。

4.個性を積み上げた結果が数字
日本に初出店してから28年、このように人生を通して寄り添えるブランドになるという思いを持って、つながりの輪を積み上げています。一番大切なのは、数字をつくり上げているのは、一つ一つの個性、一人一人のパートナーがお店でお客様や地域に働きかけている物語があるということです。 「会社がパートナー、従業員の期待を上回ることができれば、パートナーはお客様の期待を超えていく」。本社をサポートセンターと呼ぶ理由がここにあります。
パートナーからの定期アンケートの結果でもそれは顕著に表れていて、「従業員満足度93%」「正社員離職率4.7%」「正社員育休復職率97.0%」「職場推奨度92%」「男性育休取得率88.0%」という数字が物語っています。

このように、スターバックスは、人でできているブランドです。弊社も非常に勉強になる企業の一つです。
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