消費者のメディア接触と広告費の関係。約15年で大変化!
2025.6.5 (最終更新:2025.6.5)

電通の発表よると「2023年 日本の広告費」によると、2023年の日本の広告費は2022年に続き、過去最高額を記録した。2022年に最高額を更新したのは、リーマン・ショック前の07年以来で、2007年と比べて、2023年はデジタル広告の伸び、マスコミ4媒体での減少など、広告費の内訳は大きく異なっています。
1.これまでの日本の広告費
2023年1~12月までの国内の広告費は7兆3167億円で、前年比3.0%増となった。前年の2022年に続き過去最高額を更新し、日本経済の緩やかな成長とともに広告市場も成長を続けています。下のグラフは総広告費の推移です。名目GDPと総広告費の前年比を折れ線グラフに示していますが、相関を取ると有意です。

景気が落ち込む局面では四半期ほど早く広告費が落ち込み、景気が回復する局面では逆に四半期ほど遅れて回復していくことも表されています。企業は景気動向に対して敏感に広告費を投入しているのがわかります。2022年の総広告費は7兆1021億円であり、7兆円に達したのは2007年に初めて7兆円を超えて以来15年ぶりのことでした。その間リーマン・ショック、東日本大震災、直近の新型コロナウイルス禍により日本経済が大きく後退する局面を迎えています。その都度に総広告費は大きく影響を受けて減少していますが、日本経済全体が緩やかに回復し、それに伴い総広告費も伸びています。しかしながら、同じ7兆円を超えたといっても現在と2007年ではその内訳はすっかり変わっています。特にインターネット広告費の伸びが大きい。2007年には総広告費に占めるインターネット広告費の構成比は8.6%でしたが、2023年には45.5%と全体の半分近くまで増加しています。広告市場の構造が大きく変化した結果といえます。

2.デジタル広告が伸びている実態
下のグラフは30年間の総広告費を構成する各メディアの広告費の推移を示しています。このグラフからもわかるように、インターネット広告費は右肩上がりで、リーマン・ショックや新型コロナウイルス禍など経済が低迷した時期でも減少していません。一方マス4媒体広告費は新聞、雑誌、ラジオともに減少しており、テレビも近年減少傾向となっています。

かたや従来のマス4媒体はインターネット上にもサービスを展開していますが、これはインターネット広告費に分類されています。2023年の各媒体の広告費は下記になります。

この中で「雑誌デジタル」は雑誌の広告費の半分以上を占めて、マス4媒体の中でも早々にデジタル化に積極的だった出版社がこの結果を導いています。 「ラジオデジタル」は、音声コンテンツ「Podcast」や、ネット経由でラジオを配信する「radiko」などのサービスが順調に拡大しており、「テレビデジタル」はインターネットの見逃し配信サービスが着実にユーザー数を拡大していることなどが高い伸び率を支えている状況になっています。
上の表には記載がないですが、前年の額を越えている屋外、交通広告はデジタルOOH(屋外)メディアと呼ばれる屋外ビジョンや公共交通機関などの車両内、駅などのネットワーク化されたディスプレーによる広告が拡大しており、デジタル化が伸びている要因になっていることは確実だといえます。
また、電通が2024年3月に発表した「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」におけるインターネット広告の内訳では、運用型広告のインターネット広告媒体費における構成比が87.4%を占めており、前年比も10.9%増で2桁成長している。動画広告も同じように、インターネット広告に占める構成比は25.5%で前年比15.9%増と、こちらも大きな伸びを見せている状況です。他のメディアにおいても、インターネット広告が伸びている要因である運用型広告、動画広告への対応が求められることが大切になっていると思います。
3.広告市場の今後について
世界の広告市場を見てもインターネット広告が市場の50%以上を占める地域は多い。日本もいずれそのようになっていくんじゃないでしょうか。しかし、デジタル広告には解決すべき課題もあります。インターネット上ではデータ保護の問題や、フェイクニュース、広告分野ではブランドが破壊されたり、広告詐欺、なりすまし広告などが前から問題視されています。現在は国の行政府が積極的に介入するような事態となっており、日本においても内閣府や公正取引委員会、総務省などがこれらの問題に対して研究会などを立ち上げて答申をまとめ、法制化・規制を検討するといったことも報告されています。さらには近頃は「広告のためにつくられたWebサイト」問題も噴出している状況です。
かたやマス4媒体、プロモーションメディアの価値はなくなっているのか。これからもDX化が進んで、インターネット上でコンテンツが提供される方向に進んでしょうが、すべての情報取得行動がインターネット化するとも思えません。紙媒体も含めて、マス4媒体が一定の価値を持つことは確かだと思います。なぜならコンテンツの提供機能においては信頼性が高いからです。こういったメディア空間において広告コミュニケーション活動を行う際、メディアがどう変化し、生活者がその中でどのように情報を取得し生活行動を変化させていくかを見極めることが重要だと思います。広告市場のマクロ的な変化からメディアの変化、生活者の変化を俯瞰してみることも大切じゃないでしょうか。
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